小川知興専務

しまねきらめきカンパニー 有限会社小川商店

大田市-ローカルファーストの手法で地域を元気に




カフェバー路庵は、地元産の魚料理が看板メニュー。地酒、焼酎、ワインとお酒の種類も豊富に揃う。

 島根県の中央に位置する大田市温泉津町は、世界遺産石見銀山の外港として発展した港町で、江戸期の町割りそのままに、町屋、回船問屋、温泉旅館、社寺など古い建物が数多く残る。この温泉津で代々商売を営む小川商店は、元禄時代の回船問屋がルーツという歴史を持つ。12代目に当たる専務の小川知興さんは「かつては木材問屋、宿場、底引き漁の網元もやっていました。家を継ぎ残すために時代に合わせた多様な商売を営んできました」という。現在は石油販売、運送業、スーパー経営、不動産業、そして飲食業の5部門を経営する。そのうち飲食業は小川専務がUターンしてから始めた新しい事業だ。

 「大学卒業後、Uターンして商売を継ぐのは決まっていたので、ならば興味のある飲食業に挑戦してみようと思い、温泉津の街中の空き家物件を改装してカフェバーにしようと計画しました。しかし周囲の商売とのかね合いを気にして、まわりからは猛反対にあいました。それでもと思い、カフェイベントをやって、店が必要かどうかアンケートをとってみたりしましたが、ダメなものはダメという。最後は、県に相談に行き、何とか前に進めました」と当時の苦労を振り返る。

 個人事業で始めたカフェバー「路庵」は晴れやかなスタートではなかったが、やがて評判も良くなり周囲の理解も得られ、旅館との共存共栄を探ろうという方向になっていった。今ではお客の約6割が地元の人だという。その転換の鍵は小川専務のローカルファーストという考えにあった。

 「店で使う器、地酒、料理に使う水、改装を頼んだ大工など、とにかく地元のモノ、人を使うことにこだわりました。温泉津には誇るべきものがたくさんあると思っているので、それを徹底することで店の姿勢をアピールできました」

 地域が元気になるにはローカルファーストの手法とコミュニティビジネスへの意識が必要と小川専務は強調する。さらに地域に根付く後ろ向きな考え方も変革しなくてはと説く。

 「最近の親世代は自分の子どもに外へ出て行け、故郷には帰ってこなくてもいいと言うんです。島根だからと後ろ向きに思い込んでいる。これを〝島根だからこそ!〟に変えたい。温泉津は小さい町ですがビジネス資源はいろいろある。古民家をリノベーションした田舎ツーリズムの宿などもそのひとつ。今あるものを有効利用し、町を構成する一個一個のピースのクオリティを上げていくことで、町が元気になれば」と小川専務の夢はふくらむ。

会社概要

有限会社小川商店
所在地/島根県大田市温泉津町温泉津口65
  設立/昭和40年2月
従業員数/48名
事業内容/
食品部門・石油部門・運送部門・不動産部門・飲食部門
電話番号/0855-65-2636
ホームページ/
http://www.t-ogawa.com

 

企業のきらめく人 width=

 温泉津で生まれ育ち、江津市の高校を出て地元の窯業会社に就職したが一年で退社。その後は大田市の服飾店で接客の仕事をしていた松本さん。もともと車が好きだったこともあって、車関係の仕事に就こうと小川商店に昨年入社し、現在は石油部門のサービスステーションで働く。「自分の好きな車が給油に入ってくるとテンションが上がります」と初々しい一面をのぞかせ、ゆくゆくは整備士の資格をとり車のエキスパートになりたいとの夢を持つ。

 「自分は長男だから地元に残る道を選びました。温泉津はのどかで平和なところ。アウトドアレジャーを楽しむには最適ですが、反面刺激が少ないので、休みの日などは買い物に広島市へ車を走らせることも」と松本さん。今はサービスステーションの仕事に全力投球の日々が続く