BeanS vol.55

しまねUIターン情報誌

Enjoy シニアライフ

第二の人生は雑貨屋の主人
生まれ故郷に帰って父親の歩んだ道を自分も

嘉本卓人さん(61歳)
大阪から隠岐の島町へUターン

シニアライフ 隠岐の島町西郷港から車で20分ほど西海岸を走ると、美しい入り江に昔ながらの船小屋が並ぶのどかな景観がひろがる都万中里地区。60世帯ほどが暮らすこの地区に「嘉本商店」がある。文房具や台所用品、はきもの、お酒など様々な品物が並ぶ雑貨屋さんだ。明治時代から100年ほど続く店を守る嘉本卓人さんは6年前、55歳のときに大阪からUターンして故郷に帰ってきた。母の介護を一人で行っていた父を助けるために、思い切って30年勤めていた会社を退職しての決断だった。「若い頃もたびたび帰省はしていましたが、落ち着かなくて早く大阪に帰って仕事がしたかったほど。あくせくしていたんでしょう。でも今では故郷の暮らしにすっかりなじんで、波長が合うというか、ゆっくりとした時間を楽しんでいます」という。
 かつては両親にこの家から見送られて島を出ていったのが、今では自分が子どもを見送る側になったと時の流れを実感するが、周囲の人々は昔からの顔なじみばかり。

シニアライフ 「みなさん、家の事情もわかっていますから、卓ちゃんが戻ってきたとあたたかく迎えてくれました。でも55歳になっても『ちゃん付け』で…」と笑う。
 店には近所の人たちが立ち寄っていろいろ話をして帰っていく。地区のへそ的な店なのだ。昔使っていた日よけテントには「百貨店」と書いてあったと嘉本さんは思い出す。なんでも屋さんだが、最近は西郷に大型店やチェーン店ができ、商売をしていく上での課題は山積み。並ぶ商品の中でもよく売れるのはお酒とたばこ。「はたして体に良いのか、微妙ですが…」とまた笑う。
 島の暮らしは「ないものはいっぱいあるがそれを嘆くのではなく、ポジティブな視点を持つことが大切」と嘉本さん。「大阪の友人が田舎は何もないだろうと聞くんです。そんなときには、いやいや山もあれば海もある。それに飛行場だってある。お前の町に飛行場はないだろうと言います」

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 今の暮らしをずっと長く。それが嘉本さんの目標だ。昨春には定年で仕事を終えた妻・久美子さんも帰ってきて二人での生活となった。第二の人生は雑貨屋の主人。父のあとを継ぐ人生は始まったばかりだ。

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