ふせの里の求人情報

日本海に浮かぶ美しい隠岐で、森と共に生きる。
次世代の林業を担う、豊かな自然の守り人を目指しませんか。

林業(島根県 隠岐郡 隠岐の島町)

島根県本土の北東沖に位置する隠岐諸島は、豊かな自然と穏やかな時間が流れる特別な場所。どこまでも広がる雄大な海原、急峻な山々、そして心温まる人々との交流。都会の喧騒から離れ、ありのままの自分と向き合い、新たな一歩を踏み出す勇気をくれる島です。

今回訪れた株式会社ふせの里(以下、ふせの里)では、森林の整備や保全事業を通して隠岐の豊かな自然を守り、次世代へ引き継ぐための活動を展開しています。
また、ふるさと島根定住財団の「UIターンしまね産業体験」の受入先事業所として、UIターン者を多く受け入れています。

※UIターンしまね産業体験とは島根県にUIターンし、農業・林業・漁業・介護・伝統工芸等の産業を体験する場合に、滞在に要する経費の一部を助成する制度。

近年、SDGsの普及によって森林の果たす役割が改めて注目されました。同時に成熟期を迎えた人工林の適切な管理も求められるようになりましたが、この業界を取り巻く状況はどう変化してきているのでしょうか。

隠岐の島町の林業を牽引するふせの里の代表取締役、大上一郎さんにお話を伺いました。

Q.ふせの里の設立背景を教えてください。

ふせの里は、旧布施村の時代に官民共同で立ち上げられた、第三セクターです。
創業当時は製材業と漁業から始まり、その後、保養センターの運営など多角的な事業を展開していました。2004年に布施村、西郷町、五箇村、都万村が合併し、隠岐の島町が発足したことを機に、事業を林業に一本化しました。

隠岐の島町の町有林は、そのほとんどが杉で、年間の伐採・植林面積は約5000平方メートルに及ぶとのこと。伐採された木材の8割は集成材や合板、ベニヤなどの建材として島外へ出荷され、残りの2割が島内の製材所で加工され、地元産材として隠岐の家や学校などの建築物に使われているそうです。
こうした地元産材はフェリーターミナルなどの公共施設でも見ることができます。島内のあちこちの施設で、木のぬくもりを感じられる空間が多く見られるのは、林業が盛んな隠岐の島ならではだと言います。

Q.事業内容を教えてください。

現在の主な事業は、隠岐の島町の町有林管理です。伐採や植林、木材生産をはじめとした森林施業を行っています。また、町有林だけでなく私有林にも対応しており、危険木や支障木の処理も行っています。

Q.入社後の仕事内容、研修体制を教えてください。

主に苗木の植え付け、枝打ち、間伐といった造林作業です。
入社後は、先輩社員とともに山に入り、OJTで作業補助をこなしながら、業務全体の流れや作業の進め方を身に付けていただきます。

研修制度としては、林野庁が実施する「緑の雇用研修制度」があります。3年間で林業に必要な技術や知識、チェーンソーや刈払機などの工具の扱い方、そして必要となる資格の取得を目指します。

ちなみに、この「緑の雇用研修制度」は林業を目指す人を対象とした研修制度で、初心者向けの基礎的な研修から現場での実習、そして将来のリーダー育成のための研修まで、段階的にスキルアップを図ることができます。

Q.UIターン者や男女比を教えてください。

社員16名のうち、UIターン者が6名です。女性社員は全社員中1名のみになります。年齢層は60代から70代が最も多く、30代、20代と年代が下っていくにつれて人数が減少する傾向にあります。

日本の一次産業全体がそうであるように、ふせの里でも人材の確保が喫緊の課題であり、特に若い世代の力を求めていると大上社長は言います。

近年は林業の機械化が進み、昔のような重労働も軽減されています。当社の社員も異業種からの転職者がほとんどなので、林業未経験の方でも安心して来ていただき、徐々に仕事ができるようになっていく達成感を楽しんでほしいです。

Q.勤務体系や休日について教えてください。

土日休み、勤務時間は8時から17時となっています。残業はほとんどありません。
有給休暇のほか、年末年始休暇、夏季休暇といった長期休暇も設けており、それぞれ1週間程度の休みを取得できます。

「ホワイトな職場です」と笑う大上社長。福利厚生についてお聞きすると、作業着や空調ベスト、電熱線ベストといった業務に必要なものはすべて会社で支給し、社員の出費負担がないよう配慮されているそう。その他、年に2回程度、社員同士の交流機会を作って親睦を深めるようにしていると言います。

Q.どんな人材を求めていますか?

特に学歴や経験は問いません。林業に興味があり、挑戦したいという意欲のある方であればどなたでも歓迎します。
あえて言うならば、山林斜面での作業ですから、体力や持久力に自信のある方が向いています。とはいえ、実際に働いてみないと分からない部分も多いです。合う、合わないは仕事を通して見極めていただければと考えています。

Q.求職者の方へメッセージをお願いします。

林業は、隠岐の大自然を守り育てるための大切な仕事です。人々の暮らしを支える基盤となる仕事に、きっとやりがいを感じていただけると思います。もし少しでも気になったら、気軽に問い合わせてください。

次に大阪からUターンしてふせの里へ入社、15年の経験を持つベテランである坂田信二さんにお話を伺いました。

Q.Uターンのきっかけは?

父の「そろそろ隠岐に帰ってこい」の一言が、私のUターンのきっかけでした。大阪で29歳まで暮らし、結婚、離婚、再婚と人生の大きな出来事を経験する中で、父のこの言葉が心に響いたのです。

妻と3人の子どもたちを連れて、隠岐の島町へ帰ってきた坂田さん。移住と同時に職探しが始まります。希望は前職である整備士の経験を活かした仕事でしたが、なかなか思い通りの求人が見つかりませんでした。その折、父親から紹介されたのがふせの里だったと言います。

本当は整備士の仕事をしたいと思いながらも、「とりあえずここで」と入社を決めたのが正直なところですが、気がつけば15年も働いています (笑)。ここで働く先輩たちが温かく迎え入れ、大切に育ててくれたおかげです。

整備士として働いていた頃は、上司からのプレッシャーが大きかったのですが、ふせの里ではそれがまったくありませんでした。理由は明確で、変なプレッシャーをかけ慌てさせることが、思わぬ事故につながりかねません。丁寧に導いてくださったのは、そのリスクも考慮した上での、優しい配慮だったのだと思います。

Q.15年前と比べ、林業の仕事はどのように変わりましたか?

作業の機械化が進み、効率が格段にアップしました。たとえば、昔なら伐採した木を切り分けるのも手作業でしたが、今はプロセッサという造材機械を使うことで、伐採した木の枝払いから集積までを効率よく行うことができるようになっています。

さらに最近では、遠隔操作で伐採できるシステムも登場していて、将来的には現場にいなくても、モニターを見ながら作業ができる時代が来るかもしれません。
システムの導入はまだ先の話ですが、今後も林業の現場はどんどんと進化し、昔とは比べものにならないほど効率化が進んでいくと思います。

機材やテクノロジーの進化が著しいため、坂田さんいわく「以前と比べれば、林業は想像するほどしんどくはない」とのこと。とはいえ、決して楽ではない仕事であることに変わりはないはず。これまで続けられてきた原動力は何なのでしょうか。

この仕事は危険性が高く、真面目に取り組まなければならない仕事です。私の場合、逆にこの緊張感を楽しんでいるところがあると思います。

確かに、適度な緊張は良いパフォーマンスを生み出すと言われます。きっと坂田さんはそのバランスがちょうどよく、心地よさを感じられているのかもしれません。

Q.オフの日の過ごし方は?

休日はもっぱら家の手伝いですね。料理や洗濯、掃除など、主に家事に精を出しています。そのほかには、所有している車3台をメンテナンスしたり、自作パソコンをいじったりすることもありますよ。最近では、ドローンを飛ばすのも趣味のひとつです。

元整備士の血が騒ぐのか、機械いじりで過ごされることも多いそう。ワークライフバランスの取れた生活を楽しまれているようです。

続いて、神奈川県からIターンし、ふせの里へ入社された小池亜紗美さんにもお話を伺いました。

神奈川県川崎市で生まれ、横浜市内で育ったという小池さん。成人後も関東圏で住まいを転々としていたそうで、島根県にIターンする直前は横須賀市に住んでいたと言います。

Q.Iターンのきっかけは?

子どもが産まれ、都市部での子育てが厳しいと感じ始めたのがきっかけです。

小池さんが仕事と育児の両立に悩みはじめたのは、子どもが保育園に通い出した頃。当時は船舶の航海士・機関士の仕事に就いており、毎日船に乗っていたそう。

保育園から突然の呼び出しがあっても、私がいるのは海の上です。すぐに駆けつけられるわけもなく、何度も「今お迎えに行くなんて無理!」という状況に陥っていました。そうした中でコロナ禍となり、世の中が規制続きとなって、街も人も殺伐とした雰囲気に包まれていました。そんな状況になって「人の多い場所での子育ては厳しい」、「田舎暮らしで一変したい」と思うようになりました。

小池さんは幼い頃からずっと「海か山に関わりながら働きたい」と考えていたそうで、「転職するなら山の仕事に就きたい」と移住計画を早めることにしたそうです。

移住先として最初に思いついたのが隠岐でした。船の仕事で全国を回っている中で、素晴らしい景色に魅了され、最も印象に残っていたのが隠岐だったんです。調べてみると移住者への支援が手厚いこともわかり、Iターンを決意しました。

Q.隠岐の島町での暮らしはどうですか?

隠岐の島町は、島民の皆さんが温かい人ばかりで、本当に住みやすいと感じています。以前は、隣に住んでいる人が誰かも知らないような生活を送っていましたが、今は地域の人たちとのつながりが深く、親しいご近所さんがいる暮らしをとても楽しめています。

子育てをする上でも隠岐は最高の場所です。都会だと子どもと一緒に自然に触れ合う体験のためにわざわざ遠出する必要がありましたが、隠岐なら日常的に自然の中で遊ぶことができます。地域でも子ども向けのイベントがよく開催されていて、島全体で子どもたちを育てていると感じますね。

小学5年生になる息子さんは、「元々インドア派だった」そうですが、隠岐の島町に移り住んでからは、かつての10倍は外で遊ぶように。そして「将来、潜り漁師になる!」と夢を語っているそうです。

移住に関する情報収集では、ふるさと島根定住財団のサポートがありがたかったと振り返る小池さん。さらに、ふせの里での1年間の産業体験を通して、仕事内容はもちろん、職場の雰囲気や社員の皆さんの温かさを実感し、働く決意をしたと言います。

ふせの里への入社が決まると、事前に準備すべきことや必要な資格について問い合わせたそう。モチベーションが高いこともあり、移住前に自らチェーンソーの講習を受講し、資格を取得したそうです。

Q.初めての仕事はどうでしたか?

初日からチェーンソーを使って作業することになったのですが、想像以上に大変で、体中が筋肉痛になりました(笑)。資格は取得していたものの、研修では短い時間しか扱ったことがなかったので、実務は本当に大変なこと、経験を積むことが何より大事なんだと実感しましたね。

Q.現在の業務内容を教えてください。

入社して3年が経ち、現在は測量を担当しています。測量データは伐採や植林といった作業計画を立てる基になるので、作業員の皆さんが安全に、そして効率的に仕事を進められるよう日々工夫をしています。
また、測量段階で利益率を予測できればコスト削減にも繋がりますので、今後はもっと仕事の精度を上げて会社に貢献していきたいと考えています。

Q.楽しく仕事ができるポイントは?

元々、山に関わる仕事がしたくてこの会社に入ったので、毎日が本当に楽しく、測量業務を通して自然と触れ合えることに、大きな魅力を感じています。
測量は山に分け入ってデータを取るので、作業中はまるで山歩きをしているような気分になります。仕事をしながら趣味のトレッキングも楽しめ、私にとっては一石二鳥です。

Q.女性視点で働きやすさについて教えてください。

女性社員は私だけですが、とても働きやすいと感じています。子どもの体調不良などで急に休まなければならない時もあるのですが、いつも笑顔で快諾していただけます。皆さん理解があり、本当にありがたい職場です。

林業は体力仕事であることから、男性の仕事というイメージを持たれがちですが、実際に働いてみると性差の壁はあまり感じません。軽作業もあれば事務作業やデータ入力などもあり、女性の持つこまやかさを活かして働くこともできます。

Q.オフの日の過ごし方は?

家のことや畑仕事で、忙しくしています (笑)。住居のDIYも趣味のひとつなので、何かとやることはたくさんあります。大自然が真横にあるので、プチ旅行気分で気軽にアクティビティに出かけることもでき、仕事とプライベートのバランスは、これまでの人生の中で最高です!

さらに小池さんは、「仕事そのものが楽しいので、暮らしの満足度もあがるのだと思います」と、充実ぶりを語ってくれました。

さらに、広島県から家族6人でIターンしてきた方もいらっしゃいます。
まだ入社したばかりという宮野翼さん。隠岐へIターンした理由や、林業に就こうと考えた経緯をお尋ねしました。

Q.Iターンのきっかけは?

隠岐の島町へ移住を決めたきっかけは、家族共通の趣味である釣りが理由です。家族の趣味である釣りを思う存分楽しめる場所を探していたところ、釣り好きの間で人気の高い隠岐にたどり着きました。移住に関する支援制度が充実していることを知り、「これはもう隠岐に住むしかない!」と決意したんです。

Q.入社のきっかけを教えてください。

移住当初は漁業の仕事をしていたんですが、思っていた以上に勤務時間が長く、家族と過ごす時間が取れなくて・・・。釣り好きなら漁業だと思っての選択でしたが、趣味は趣味の範囲でやるべきだと悟りました。忙しすぎる生活を変えたいと、思いきって転職することにしました。そこでふるさと島根定住財団に相談したところ、ふせの里を紹介してもらいました。

働き始めてわずか1カ月ですが、ゆとりをもって仕事ができていると実感しています。これまで時間に追われてバタバタしていた日々が一転、今は時間の流れがゆったりとしていて気持ちがとても楽になりました。

また、希望通り「好きな釣りは趣味の範囲で楽しむ」ことも実現されたようです。

仕事は17時終業で残業はほぼありませんから、仕事終わりの釣りを楽しむのが日課になっています。土日はもちろん家族全員で釣り!です(笑)。おかげで家族の絆を深めつつ、時間に余裕のある暮らしを楽しめています。

Q.今後の目標を教えてください。

入社したばかりなので、まずは仕事の基礎をしっかり学びながら、現場での仕事を少しずつ覚えていくことです。もちろん、早くチェーンソーの免許を取得し、伐採作業にも携わっていきたいと思っています。ゆくゆくは重機も扱えるようになって、幅広い作業をこなせるように成長したいと考えています。

Q.新しい環境についてどう感じていますか?

暮らしの面では、都会にいると考えられないような、人と人とのつながりの深さを感じています。特に職場での人間関係は抜群に良く、大ベテランの方々とも、上下関係を意識することなく何でも話せています。先輩方からも丁寧に指導していただけるので安心して仕事に取り組むことができ、心から感謝しています。

今回、取材を通して強く感じたのは、社員の皆さんの懐の深さと心の温かさです。ふせの里の魅力は、深い人間関係を築けることにあるとも言えるでしょう。
もし少しでも心惹かれるものを感じたのなら、ぜひ一度連絡を取ってみてください。きっと、ふせの里ならではの心地よい社風を気に入っていただけるはずです。

(2024年12月取材)

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