特定非営利活動法人てごねっと石見の求人情報

地域課題と真正面から向き合うまち・江津で
好奇心と行動力に溢れる“熱き伴走者”求む!

教育、学習支援業(島根県 江津市)

島根県西部、石見地方と呼ばれるエリア。その中でも中国地方最大の河川である江の川の河口に位置する江津市は、江戸時代に建築された商家の家屋なども多く残り、往時の面影を今に留め、訪れる人に歴史を深く感じさせる街です。

2008年に起きたリーマンショックに端を発した景況の悪化により、主力である二次産業が大きなダメージを受け雇用の場が減少。市がその対策の一環としてスタートしたのが、働く場を創出できる人材誘致と、過疎地域の課題解決につながるソーシャルビジネスプラン創出を目的とした「江津市ビジネスプランコンテスト」(通称Go-Con、以下Go-Con)です。
特定非営利活動法人てごねっと石見(以下てごねっと石見)は、このコンテストをきっかけに設立されました。2015年には「第5回地域再生大賞」を受賞し日本一のNPOに選ばれたことも。

てごねっと石見の進める事業のこと、これからの江津のことについて、理事の齋ヶ原祐司さんに伺いました。

Q.業務内容と法人の成り立ちについて教えてください

てごねっと石見は「Go-Con」の初回開催後、「プランを提案してくれた人を継続的に支援する仕組みを作らなければ、起業やチャンレンジする人も続かない」という考えから、石見地域の産官学のキーマンが発起人となり、てごをするネットワークとして立ち上がりました。中間支援機関としての役割ですね。ちなみに、てごねっとの“てご”は石見弁で“手伝い・手助け”を意味しています。

県内外から応募されたビジネスプランを評価し、大賞となるプランを選定する「Go-Con」は、「江津でチャレンジしたい」「江津で創業したい」という人たちをお披露目し、地元と繋がりを作ってもらうのが目的。てごねっと石見は委託を受けるかたちで事務局としてスタートしました。

現在は江津市が定義している重点プロジェクトを、委託を受けてお手伝いしつつ、創業支援や初等教育段階から始めるキャリア教育、産業人材育成や人材誘致など、数多くの事業を展開しています。

設立当初は「Go-Con」支援が主軸でしたが、「GO▶つくる大学」を発足し、市民の方が講義やイベントの企画・実施を通して、誰でも先生や生徒になることができ、お互いに学び合える場を提供し始めます。
他にも、江津市による「ふるさと・キャリア教育」の取り組みがスタート。教育委員会からの依頼で、学校と地域の大人や団体を結び付けるコーディネーター活動を開始しました。
また、2020年からは江津市内の県立高校で「高校魅力化プロジェクト」に関わっているそうです。

「高校魅力化プロジェクト」は、生徒が校外に出て何かを体験したり話を聞かせてもらったりするんですが、生徒が興味のある仕事や活動について話を聞きたい、と希望してきたときに、該当する人を外部から連れてきて生徒と話す機会を作る、“繋ぐ”仕事を請け負っています。

授業は年間35時間と限られているため、授業以外の受け皿として、ボランティアや街のイベントに参加する機会を作るほか、事前に設定した目標の振り返りまでサポートを行い、「生徒が成長していく手伝いをしている」と齋ヶ原理事は言います。

高校魅力化プロジェクトは生徒が学校生活を魅力あるものにすると同時に、校外での活動を通して地元の魅力を感じたり、コミュニケーション力等の社会で必要な力を実践を通して身に付けることができる取り組みです。

Q.現在の職員構成について教えてください。

職員は全18名で構成されています。
年齢層は10代から60代までさまざまですね。男女比で言えば3:7で女性の方が多い環境です。私も含めて、100%未経験からスタートした人材しかいません(笑)
形が決まったことに取り組むよりも、常に試行錯誤しながら組み上げる業務スタイルです。

若い人はパートタイムの大学生から、上は60代の方まで年齢層は広め。
もっと言えば、江津市出身者のみならず県外出身のIターンしてきた職員や、県外に進学・就職して戻ってきたUターンの職員も割合多いそう。
齋ヶ原理事も浜田市から東京へ出て、大手通信会社で長年エンジニアだったという経歴を持っています。

大学卒業後にそのまま東京で就職して暮らしていました。東京では大手通信会社のエンジニアとして働いていましたが、その原点になったのは学校の先生でした。インターネットに興味を持ち、その興味を広げてくれたのが小中高の恩師だったんです。

学校の先生や周囲の大人が将来を切り開く手助けをしてくれたことに、大人になって気づいたという齋ヶ原理事。
恩師と久しぶりに再会したとき、昔と違って未来に希望を持てない子どもたちが増えているという話を聞き、「教育を通じて興味を持ったことを実現できる人を故郷に増やしたい」「自分自身の経験を今の子どもたちに還元したい」と考えるようになったそう。

そのタイミングで、教育魅力化コーディネーターをてごねっと石見が募集していることを知り、愛する故郷とそこに住む子どもたちのために転職を決めたのだと、齋ヶ原理事は静かに熱く語ってくれました。

Q.女性活躍を推進する取り組みは何かありますか?

産休・育休制度の完備しており、育児をしながら仕事ができるようにリモートワークの制度や時短勤務制度を設けています。
リモートワークはフルではなく8割までとしていて、事前申請を必要としています。

また、齋ヶ原理事いわく男女の区分けはなく、力仕事というわけでもないので、年齢を考慮した仕事の割り振り方もしていないとのこと。
分け隔てなくすべての職員が業務に邁進することが、女性活躍につながっているのかもしれません。

Q.現在抱えていらっしゃる課題はどんなことでしょうか。

目下抱えている課題は2つあります。
1つ目の課題は、事業間で連携する動きの活性化です。てごねっと石見は事業がとても多いですが、18名いる職員のうち実際に事業に関わるのは6~7人。残りの多くは施設管理での仕事をしています。
少ない職員で多数の事業を回す前提なので、ひとつの事業でひとつの成果ではなく、ひとつの事業で複数の成果に結びつくようにしたいと考えています。

18名の半数に満たない職員で数多くの事業を日々こなしているとのことですが、一人ひとりに掛かる負担が相当大きいのではないでしょうか。

少人数ですが、協力しあいながら事業に取り組んでいるため、一人当たりの負担は想像されているほど大きくはありません。また、すべての事業において共通するのは、主体が江津市の住民や江津市に関わる人であり、私たちは支援する立場ということです。だからこそ我々は自分たちを「伴走者」と呼称しています。
しかし、伴走するのは私たちだけなので、伴走できる数も限られてしまいます。ですから伴走者を増やしていくことが2つ目の課題になります。

1つ目の課題に通じるところがありますね。そして齋ヶ原理事はこう続けます。

団体の外で伴走してくれる人を増やしていくことが理想ですね。てごねっと石見の中だけではなく、組織の外で一緒にやってくれる伴走者を増やすための取り組みをしていきたいと思っています。
とはいえ、まだ組織の中でも全員が伴走できているわけではありません。まずは中で伴走者を増やしていきます。

人的リソースが足りないことが課題に共通していますね。
それに関連して、今後はどのような職場にしていきたいとお考えなのでしょうか?

今後はてごねっと石見の事業を連携強化させていかなければなりません。
徐々に人数が増えてきましたが、依然として少人数組織です。そのため、個人の裁量が非常に大きい。個人事業主の集合体のような状態で、そこが連携のボトルネックになりがちです。また、個人がノウハウを持ちすぎていると、その人が辞めてしまった場合に、ノウハウが残っていかないというデメリットがあります。
この1~2年はチームを意識して動くことを根付かせる取り組みを進めています。

てごねっと石見が立ち上がってから10年と少し。次の10年を見据えた動きをしているということなのでしょう。組織としての在り方を変えていくのは、非常にエネルギーのいる行為ですが、その実現にはそれぞれの職員が、自分だけでなく他の職員のことも考える必要があります。

誰かに伴走していく、サポートしていく。それは、その誰かのやる気を引き出していくことでもあります。
しかし、伴走する側も面白さや楽しさを見出だせる人でなければ成り立ちません。「仕事だから」と割り切っているようだと、誰かに伴走するのはとてつもなく難しい。
だからこそ、伴走者が興味のあること、喜びを感じること、個人の持つ価値観を、仕事の中でも大事にできるようにしています。

「まだ完璧にはできていないんですけど」と苦笑しつつも、そう教えてくれた齋ヶ原理事。
団体として目指すところと、個人が持つ興味関心や価値観が重なるところを仕事に落とし込んでいくことを、特に意識していきたいと話してくれました。

Q.伴走支援について具体的なエピソードを教えてください。

県立江津高校の生徒たちが江津市発展のために、石見神楽プロジェクトを企画し、私がその伴走支援を行ったときのことです。そのプロジェクトを進めている途中、生徒たちが石見神楽とゴールである江津市の発展を結びつけられなくなったことがありました。
伴走者として、生徒たちにヒアリングをしながら、石見神楽への思いや取り組んできたことなどをホワイトボードに書き出し、項目ごとの繋がりなどを俯瞰して見えるようにしてあげました。これは学生たちの中でゴールを明瞭化し、そこへ進むためにどう取り組むべきか、取り組んでいきたいかを明確化させるためのものです。
同時に生徒が成長していく様子も可視化したことによって、生徒たちの目の輝きが変わったのは印象的でしたね。
また、2022年に長期有償型インターンシップで江津の地域に触れた大学生が、翌年に江津に住み始め、てごねっと石見でパートタイマーとして、他の大学生の伴走などを経験して「Go-Con」に出場し、現在は古民家を活用した大学生・高校生のシェアハウスなどで起業しようと頑張っています。Go-Conに向かっての伴走と、Go-Con後の起業実現に向けて職員が伴走支援をしています。

続いて、実際に働いている方の声もお聞きしました。
てごねっと石見で伴走者として、「Go-Con」やキャリア教育に携わりつつ、高校魅力化コーディネーターも務める檜垣和美さんです。

檜垣さんは地元・江津市の出身。高校卒業後は就職のため関西へ。大阪の印刷会社で働いたのち、江津市へIターンしました。戻ってきてからは市内の歯科医院で、歯科助手として27年勤めたのち、てごねっと石見に転職したとのこと。

てごねっと石見に入ったきっかけはなんだったのでしょうか?

歯科医院を辞めて、別の仕事に就こうと求人情報を見ていた折に、理事長の藤田から「どう?」と声をかけられたのがきっかけです。

実はてごねっと石見理事長の藤田貴子さんと檜垣さんは旧知の間柄。
そのため、藤田理事長からいろいろと話は聞いていて、檜垣さんいわく「なんか忙しそうにしているんだけど、楽しそうに話をしてくれていたのが印象的」だったとのこと。

檜垣さんが前職を辞めたと知った藤田理事長が、「あなたの性格的にてごねっと石見の仕事が合っている」と声をかけたと言います。

私は性格的に、誘われたからやってみようというマインドにならないんですよ。でも、何故か藤田から誘われたときは「じゃあ行ってみようかな」という気持ちになりました。
友達が誘ってきたのはきっかけですが、自分の心の中で「やってみよう」と思えたのが最も大きな理由ですね。

とはいえ、まったく畑違いの仕事を長くしてきた檜垣さん。藤田理事長からはざっくりとした話を聞いただけで詳細はよくわからないまま、てごねっと石見に参画したということで、大きく戸惑ったのではないでしょうか?

パニックでした(笑)
聞く言葉、見る単語が呪文のようなものばかりで、ちょっとつまずいたら、次がもう頭に全然入ってこなくて、パニックに次ぐパニックだったんです。
未だに「?」となることがあります。

2023年2月にパートタイムとして参画し、4月から正式にフルタイムの職員として働き始めたという檜垣さん。最初の頃は先輩に付いて回って、いろいろな会議に参加することが多かったそうですが、自分が会議の場にいること自体「わけがわからない状態」だった、と笑いながら話してくれました。

本当に毎日ぐったりで(笑)
入ってから8ヶ月ほどになりますが、未だにその状態から脱却できた感じはしていません(苦笑)
でも、最近になってようやく、なんとなく話がわかるかなという感じにはなってきました。

そのような自己評価をされる檜垣さんですが、齋ヶ原理事いわく非常に信頼しているとのこと。

伴走もなんですが、この仕事は人と人をつなぐことが多い。檜垣自身はあまり意識していないようですが、人と話すことがとても好きですし、自分の意見をしっかり言ってくれる。持ち前の性格もあって私も藤田も信頼して仕事を依頼しています。
異業種からの転職かつ未経験でありながら、仕事の覚えも早くて、とても助かっています。

Q.やり甲斐はどんなことに感じていらっしゃいますか?

先日閉幕した「Go-Con」で、事務局として動いたり、あるいはふるさと・キャリア教育で小学校と地域の方をつないだり、それらひとつひとつのことが終わったとき、達成感というか終わったという安堵感があります。

「やり甲斐とは少し違うのかもしれませんが、短いながらもさまざまな仕事に関わり、そこで得られた経験が少しずつ自分の糧になっている」という檜垣さん。
前職と比べて、どのようなところに仕事の楽しさを感じているのでしょうか。

とにかく人に会う機会が多いですね。一度しかお会いしていない方もいれば、まだ声しか聞いたことのない方もいますが、とにかくたくさんの方と関わるようになったと思います。
それこそ前職では関わることがなかったであろうカテゴリーの方もいますし、この仕事に就かなかったら出会えない方が大勢いるんですよね。

さきほど齋ヶ原が言ったように、人と話すことが好きなんですよね。前職では、話はしてもそんな深い話はしませんでしたから。
てごねっと石見に入って、人と話すこと、人の話を聞くことに面白みを感じています。

こう聞いていると、藤田理事長が見込んだ通り、てごねっと石見の仕事にとても合っている人だと感じますが、檜垣さん自身は今もその感覚が湧いていないそうです。

昔から私のことを知ってくれている人に「てごねっとに転職した」と言うと「あ、なんか合ってる」と言われます。いろいろな人に同じ反応をされるんですが、未だに「わたし大丈夫かな?」と思ってしまって・・・。他の職員のように動けている自分の姿が想像できないんですよね。

少し自信なさげな表情で言う檜垣さんですが、そうした気持ちを抱えつつも、ひとつずつ自身に落とし込みながら仕事をしているのだそう。
また、仕事のやり方に決まった手順がないのも当初は不安に思う要素でしたが、周囲から「やりやすい方法で進めていい」と助言を受けてからは、気持ちが楽に仕事を進められるようになったと言います。

そんな檜垣さんに今後の目標を聞いてみました。

全体を把握できるようになりたいです。
今はどう進めるか逐次確認しながら、あるいは指示をもらいながら進めることが多く、自分から能動的に「こう進めたい」「次はこうしたらどうか」といった提案ができるようにしたいと思っています。
また、伴走支援の面では、お話をさせていただいた相手の言葉から、その人の大切にしている想いをキャッチしながら伴走できるようになりたいと考えています。

Q.職場の雰囲気はどんな感じでしょうか?

いわゆる会社とはちょっと違います。堅苦しさはまったくないですね。齋ヶ原や藤田は上司にあたりますが、あまりそれを意識したこともありません。
身内感みたいなものが強く、職員の関係性も非常にフラットです。

いや、檜垣はかなりのムードメーカーなんですよ。本人はあまり自覚していないんですが(笑)
例えば檜垣が入ってくる前、ランチはそれぞれのデスクで食べるのがデフォルトだったんですが、檜垣が他の職員に声をかけて一緒にランチをするようになったら、だんだんとみんな一緒に食べるようになって。
ある意味、今の職場の雰囲気は檜垣によって作られているところが大きいと思っています。

Q.女性が働きやすい環境だと思うポイントを教えてください。

実は事前に他の職員に聞いてみたんですが、男女問わずみんな「性別は関係ない」という意見なんですよね(笑) それは私自身もそう思っていて。
職員の中にはお子さんを持つ人もいれば、高齢のご家族がいる人もいます。自分自身が突然体調を崩してしまったときも含めて、時間の融通がとにかくききやすいのが最大のポイントなのかなと。

職員のみなさんが、そもそも性差を感じていないという職場環境。
組織づくりの段階で性別や年齢を問わないようにしていると齋ヶ原理事も話していましたが、働いているみなさんにしっかりと浸透していることが窺えますね。

最後に藤田理事長へ、どのような人に参画してほしいかをお聞きしました。

自分で「やりたい」という意欲を持っていることはもちろんですが、人の「やってみたい」を伴走者としてサポートする意欲も必要です。相手の話をよく聞きながら、どんなことがやりたいかを引き出し、聞いた話をわかりやすくまとめられるスキルが求められますし、コーディネートという点では、コラボやマッチングを考える思考力も求められます。

てごねっと石見という団体の業務上、やはり外すことのできないのがコミュニケーション力だという藤田理事長。どの仕事においても重要なファクターですが、それは経験を積むことで段々とできるようになっていくことだ、と藤田理事長は言います。

江津市は島根県で最も過疎化が進み、最も小さい地域です。そこを活性化させていくための「未来の仕組みづくり」を一緒にやっていける人に出会えればと考えています。
現代社会のモヤモヤを、ひらめいたアイデアをみんなでカタチにして、楽しみながら一緒に解決していきたいですね。
そういう意味では人に興味があること、何事にも好奇心を持てる人、そして行動力のある人が、てごねっと石見で活躍してくれると考えています。

江津市が目指す「地域自らを磨き、選ばれる地域になる」ことを実現するため、江津市の人々と、江津市に関わる人々を手助けしているてごねっと石見。
これまで得てきた経験や、自身の好きなこと・得意なことを武器にして、自分以外の人々をサポートしていきたい、導き手になりたいと考えるなら、てごねっと石見での仕事はぴったりかもしれません。
まずは江津という街を知り、江津の魅力を実感してください。

(2023年12月取材)

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