こんにちは!山陰のタウン情報誌ラズダの編集部みのりんです。
地方での暮らしには、多くの方が「車は必須」と考えますよね。東西に長い島根ならなおのこと。しかし、実際には車を持たずに豊かに生活している方も中にはいます。今回は実際に車なしで暮らしている移住者さんにインタビュー。リアルな実態と車なし生活だからこそ見つけた島根の魅力を教えてもらいました!
島根県の交通事情と車なし生活のリアル
出雲市在住の稲川さんの場合
2023年7月、東京から島根県出雲市に移住。幼い頃からギリシャ神話が好きで、神話に登場する地名が残る島根県に憧れていたそう。現在は出雲市内のIT企業に勤務。
仕事・生活のこと
移住前は車を使っていたんですか?
東京では介護職をしており、通勤は電車が基本。週に1回程度勤務内で運転をしていましたが、運転は好きではありません。
移住の際車を持つ予定はなかったのですか?
移住の際、車はおいおい用意しようかと思い、まずは電動自転車のみで生活をスタートしました。
車がなくても困らないですか?
職場が近いうえ、家の周辺にはスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアが自転車圏内に点在しています。不便なことは特になく、できればこのまま自転車での生活をしたいと思っています。
出雲市駅周辺の駐輪場は1日100円と、都内では考えられない価格で停められます。
ただ、大きな荷物を持つ際や、駅から遠い場所でのイベントに参加する際は、周りの方に頼らざるを得ないので、申し訳なく感じることも。

出雲市には一畑バスやスサノオ観光などの路線バスが主要なエリアをカバー。バスはだいたい7時台から19時台までの間に30~1時間半に1本くらい。中心地の道路や歩道は広く、運転手も歩行者も安心して移動できます。また、中心部には大型ショッピングモールの『ゆめタウン出雲』や『イオンモール出雲』があり、一般的な買い物や外食、レジャーであれば不便さはなし!

車なし生活で見つけたお気に入りスポット
車なし生活で見つけたお気に入りスポットを教えてください!
普段見ている景色がすべて好きですが、特にお気に入りは家の近くにある桜。川の近くに多くの桜の木があり、とてもステキです。

東京での通勤は人混みが凄くて風景を楽しむ余裕はありませんでした。島根県に来て、自転車で通勤をしていると毎日、花や夕日が見られます。日常の中で当たり前に感じ、目にすることができるのは、この土地ならではの魅力だと感じています。
通勤路から出雲市駅方向を見た時に見える景色もお気に入り。オレンジに染まった夕日が近くに感じたり、夏には山が見えたり、季節を感じられます。ゆっくりと自然を感じながら過ごせる毎日に大満足。


出雲市は、豊かな自然と四季折々の風景が楽しめる魅力的な土地。宍道湖や日本海に面し、美しい夕日を望めるスポットが点在しています。また、出雲大社をはじめとする歴史的な名所も多く、自然と文化が調和した環境が特徴。穏やかな気候のもと、春には桜が川沿いを彩り、夏には青々とした山々が広がります。都会の喧騒を離れ、のびのびとした暮らしを楽しめる場所として、多くの人々に愛されています。
休日の過ごし方
休日はどのように過ごしていますか?
私はインドア派で休日も家にいることが多め。お酒を飲むことが好きなので、繁華街の代官町へ出かけることもあります。
遠方に出かける際は、できるだけ鉄道、バスなどの公共交通機関を利用しています。

出雲市駅周辺には大衆居酒屋や隠れ家バー、地ビールが楽しめるお店など、飲食店が密集しています。駅裏には温泉もあり、リフレッシュも。また、新しいお店が増えており、中にはUIターンで来られた方がやっているお店もあります。行けば何か交流が生まれそう。

出雲市駅から西へ向かうと、文化の香りが漂う街が点在しています。一方、東へ向かえば、歴史と自然に恵まれた街が広がります。
これらの魅力的なスポットへは、公共交通機関でも不便なくアクセスできるのも大きな魅力です。

車なし生活について最後にひとことどうぞ!
「車がなくて困ったことは?」と聞かれて、思いつかない程度には快適に過ごせますよ!
益田市在住のつっちーさんの場合
元々雲南市に住んでおり、進学で東京へ。2023年4月、就職を機にUターン。現在は、勤務する会社の配属先である益田市に住んでいます。
仕事・生活のこと
益田に住む際、車を持つ予定はなかったのですか?
就職した当初、車をすぐに用意するつもりはありませんでした。将来的に都市圏や海外での生活を考えており、今は自分に必要なことに重点を置きたかったからです。
車がなくて困ることはありますか?
幸い、職場は家から自転車で5分、徒歩10分と近く、周辺には市役所、駅、コンビニ、スーパーマーケット、ドラッグストアなど生活に必要な施設が揃っています。そのため、普段の生活で不便を感じることはありません。

益田市には石見交通の路線バスが運行。バスの本数は多くはないものの、市街地はコンパクトにまとまっており、自転車や徒歩での移動も十分可能。中心部には『イオン益田店』ほか、病院、飲食店が点在し、生活には困りません。
休日の過ごし方
休日はどのように過ごしていますか?
休日はランニングをしたり、旅行に行ったり、アクティブに過ごすことが多め。街から見える海景色がお気に入りで、よく写真を撮ります。

松江市や広島県までは、公共交通機関利用、乗り継ぎなしで2~3時間で到着。朝早くから夕方出発する時間帯まであるので、日帰りで出かけることも可能です。
遠方へ行く際はどうしていますか?
遠方へ出かける際は鉄道を利用。自分の行きたいタイミングで旅行に行けないことや、益田市郊外を十分に楽しめないことが悩みです。特に、山間部へ出かける際は、公共交通機関だと時間がかかってしまいます。運転が好きで、乗りたい車もあるので、今の生活スタイルでは困らないものの、将来的には車が欲しいと思っています。


島根県の西端に位置する益田市は、北に日本海、南に中国山地を擁する自然豊かな場所。清流「高津川」「匹見川」が流れ、四季折々の表情を見せる山々、日本海に沈む夕日、そして満天の星空といった、神秘的でロマンティックな光景に出会えます。益田市駅の近くには「益田川」が流れており、爽快なランニング時間が楽しめます。春には土手の桜が満開に。
車なし生活で見つけたお気に入りスポットを教えてください!
自転車圏内で行ける『MASCOS HOTEL』の「益田温泉」と、サウナ施設『SAUNA BREEZE』です。休日の楽しみでもあります。
2019年春に駅前にオープンした『MASCOS HOTEL』の「益田温泉」では、日帰り入浴可。美肌効果の高い源泉かけ流しの湯を広々とした大浴場で楽しめ、ゆったりとリラックスできます。日本海に面した立地を生かしたサウナ施設『SAUNA BREEZE』も。自然に囲まれた最高のロケーションで、本格的なサウナを楽しめます。
車なし生活について最後にひとことどうぞ!
地方での生活において車は必要だと思います。けど、持たないことによって、体を動かすきっかけが出来たり、普段行かないようなお店を見つけたり。不便だからこそ見つかる“幸せのヒント”がありますよ!
車中心の生活でも安心!島根県ならではの暮らしやすさ
交通事故の発生件数が全国最少!安全運転の街・島根
全国で最も交通事故が少なく、死傷者数も全国2位の低さ。マイカー文化が根強いながらも、ドライバーのマナーの良さが光る地域です。都会に比べ交通量も控えめで、車も安心して運転できますよ。
※社会生活統計指標2024(総務省統計局)より
早めの帰宅で暮らし充実!ワークライフバランスが◎
交通量が少ないとはいえ、夜間の車通勤はちょっぴり不安…。
そんな方も多いのでは?島根県の平均帰宅時間は18時7分と全国屈指の早さで、暗くなる前に帰路につくことも可能なんです。夕日を眺めながら帰宅したり、早めに帰って趣味に出かけたり、
ワークライフバランスがとれた生活に、夢が膨らみますよね。
※R3社会生活基本調査(総務省統計局)より
快適なマイカー通勤
島根県ではマイカー通勤の人が多く、都会のような満員電車とはほぼ無縁です。通勤・通学時間が約1時間と、全国平均より短く、心身への負担も少ないです。
※R3社会生活基本調査(総務省統計局)より
車なし生活でも楽しめる新しい暮らしのカタチ
車なし生活には、自由に遠方へ移動できない不便さもありますが、その分、日常の風景や身近な発見を大切にできるという魅力があります。徒歩や自転車での移動が増えることで、体を動かす機会が増えたり、普段気づかなかったお店や景色に出会えたりする楽しさも。移動手段にとらわれず、その土地ならではの魅力を見つけながら暮らすことで、より豊かな生活が広がるのかもしれません。
今回ご紹介した方々は、周辺に生活に必要な施設が充実しているからこそ、車なし生活を実現できています。島根県内はそのような場所ばかりではありませんが、利便性を重視して車中心の生活を選ぶか、車なし生活を選ぶかは、自分次第。どのような暮らしを送りたいのか、あらためて考えてみるきっかけになるかもしれません。
※こちらの記事は2025年6月公開