しまねUIターン情報誌 ビーンズ BeanS しまねUIターン情報誌 ビーンズ BeanS

Vol.70 Autumn 2026

公益財団法人 ふるさと島根定住財団

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Story 04

由井さん

時間をあじわう。

脱、タイパ・コスパ生活。

由井さんのイラスト

Iターン 移住3年目 由井 辰さん(30) 神奈川県 →浜田市

プロフィール

長野県出身。大学進学を機に浜田市へ移り住み、サーフィンやライフセービングを始める。卒業後は東京の企業に4年間勤務。令和4年の夏に浜田への移住を決意し、翌年、地域おこし協力隊として着任。同年、東京で出会った妻と結婚。現在は海に関わる仕事に従事している。

Before:住所 神奈川県、職業 会社員(菓子製造・販売)、家族 単身、趣味 サーフィン、スノーボード。After:住所 浜田市、職業 浜田ライフセービングクラブ、家族 妻、趣味 サーフィン、スノーボード。

コーヒーの香りと、沈みゆく夕日。急がず、比べず、自分たちの歩幅で重ねる浜田での一日。

コーヒー

由井さん夫妻の一日は、淹れたてのコーヒーを味わうことから始まる。ベランダの野菜に水をやり、その日の予定を確かめ合う。そんな心地よい朝のひとときが、海のまちで暮らす二人の日常だ。
夫の辰さんは長野県出身。大学進学を機に浜田市へ移り住み、サーフィンやライフセービングと出会った。そして地元の海を愛する人たちとの交流を通して、海のある暮らしに魅了されていった。卒業後は都内で就職し、満員電車に揺られ仕事に追われる日々。休日になると片道2時間かけて茅ヶ崎へ通い、人でにぎわう海で仲間とサーフィンを楽しんでいたという。
そんな生活の中で、心の片隅にあったのは浜田で過ごした時間だった。「毎年夏になると浜田へ遊びに来ていました。浜田の人たちは、みんなで仕事をして、みんなで汗を流している。その姿がとても楽しそうに見えたんです」と辰さんは振り返る。
ただ収入を得るためだけに働くのではなく、仕事も人とのつながりも、暮らしの一部として楽しむ。そんな生き方に惹かれ、辰さんは浜田への移住を決意し、令和5年に浜田市へ戻ってきた。当時交際していた栞奈さんも同年9月に移住し、二人はこの町で結婚。浜田での新しい人生を歩み出した。

海

海と夕日、人の温かさ
心ほどける浜田の暮らし

移住して大きく変わったのは一日の過ごし方だ。東京時代は朝早く家を出て、夜遅くに帰宅する仕事中心の毎日だった。今では夕方5時半頃には帰宅でき、日の長い夏には、そのままボードを抱えて海へと向かう。
栞奈さんも、辰さんの仲間たちに支えられ、浜田での暮らしに少しずつ馴染んでいった。時間に追われていた都会での生活とは異なり、今では家庭菜園やパン作りなど、手間をかける楽しさを見つけたという。休日には、朝から二人で海に行ってサーフィンを楽しんだり、浜辺で栞奈さんの手作りパンを食べたりとスローライフを満喫する。「水平線の向こうへ沈んでいく夕日を、いつまでも眺めていられる。ここでは、ゆっくり夜が来るように感じます」と栞奈さんは微笑む。
移住前は仕事の愚痴をこぼし合うことも多かった二人。今ではその日の出来事や次の休日について、和やかに語り合う時間へと変化していった。

日本海を一望する「赤鼻展望台」。二人がウェディングフォトを撮影した思い出の場所だ。

日本海を一望する「赤鼻展望台」。二人がウェディングフォトを撮影した思い出の場所だ。

ゆったりと満ちていく日々を
海のまちで重ねていく

現在、辰さんは夏のライフセービングや天然海塩の製造など、海に関わる仕事に携わっている。「地域の子どもたちにも海の楽しさを伝え、次の世代へつないでいきたい」と思いを語る。
大勢の人が足早に行き交う都会では、自分まで急かされているような気持ちになり、他人の暮らしと比べてしまうこともあった。だが浜田では、周囲の目を必要以上に気にせず、自分たちのペースで暮らせるようになったという。近所の人と顔を合わせれば、自然と足を止めて言葉を交わす。都会では素通りしていたような日常のひとコマが、今では人との距離を縮める温かな時間に変わった。
時計が刻む一日の長さは、東京も浜田も変わらない。しかし、由井さん夫妻の一日には、コーヒーの香りと土に触れる朝があり、波の力を感じながら、水平線に沈む太陽を見送る夕暮れがある。ゆっくりと満ちていく潮のように、二人の浜田での日々は、これからも穏やかに豊かな時間を満たしていく。

波の音と、ゆったり流れる時間のなかで心から満たされる日常の手ざわりがある

鳥のイラスト

由井さん
由井さん

ベランダの菜園で育てた野菜を収穫し、丁寧に淹れたコーヒーを二人で味わう。日々の小さな楽しみに手をかけながら、自分たちのペースで心豊かな時間を重ねている。

由井さん

夏は海水浴客を見守るライフセーバーとして活躍する辰さん。海の安全を支えるため、日々浜辺を駆けまわる。

由井さん
由井さん
由井さん

休日は朝から二人で海へと向かう。波に身を委ねてサーフィンを楽しんだ後は、潮風と波音に包まれながら、栞奈さんの手作りパンを頬張る。特別なことはなくても、二人で笑い合うひとときが、何より心を満たしてくれる。

移住タイムライン

18〜21歳
大学進学のため浜田市へ。大学でサーフィンやライフセービングのサークルを立ち上げ、地域の人たちと繋がりを築く。
22〜25歳
就職のため上京し、神奈川県川崎市から都内へ通勤。職場で出会った妻と交際を始める。
26歳
仕事中心の生活を見直し、浜田への移住を意識し始める。
27歳
地域おこし協力隊として浜田市に着任。同年、妻も退職して浜田へ移り、結婚。

利用した制度

・定住財団主催の移住イベント(東京)参加

定住財団では県外やオンラインで様々な移住イベントを開催しています。最新情報は「くらしまねっと」をご覧ください。

・しまね移住相談窓口(東京)

定住財団では県内(松江・浜田)だけでなく、東京・大阪・広島にも移住相談窓口を開設しています。