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Oba Kiichi #Iターン #島暮らし

これがわたしの、リアルなしまね暮らし。
from 広島県 now 海士町
豊かな自然、趣味と人が繋ぐ
「新しいふるさと」との出会い
心地よい潮風が吹き、豊かな自然に恵まれる隠岐郡海士町(あまちょう)。この地に祖母・母・兄とともに移住して約3年になる大場さんは、今や地域活動に積極的に関わる一人だ。だが移住前は、正社員の仕事を辞め、将来に悩む一人の青年だった。将来のことを考える中、看護師の母親が「離島の医療に携わる」夢を叶えるため動き始めた。母親の夢、そして北海道出身の祖母の「老後は自然に囲まれた場所で暮らしたい」という望みもあって、家族で移住を検討し始める。大場さん自身は離島にピンと来なかったが、「釣りができる」と聞かされ興味が湧いた。趣味の釣りに興じられるならば、と海士町への移住を前向きに考え始めた。
移住 before after

移住タイムライン

移住前に大場さんが悩んだこと

広島での生活はそれなりに楽しかった。ただ、交友関係は高校時代の同級生が中心。行動範囲も狭かった。しかしその時はそれが当たり前と思考停止していたという。だが母親の夢を聞き、好きな釣りをもっと楽しみたい、自分も仕事や暮らしを変えたいと思い、移住を心に決めたという。
高校卒業後は釣具店に就職。その後、様々な職を経験した。ある時、地元のスーパーから声がかかり、惣菜売場のパートタイムで働くことに。働く楽しさは感じていたが、自ら選んだ仕事ではなかったため、納得して働いている実感は少なく、雇用形態にも将来の不安を抱えていた。

移住検討段階でやったこと

偶然の出会いがもたらした新たなステージ
移住検討中に、海士町へお試し来島もした大場さん。「職場見学か、海遊びか」という選択肢を前に、仕事は決まっていなかったが、迷わず海で遊ぶことを取った。20㎝級のアジが次々釣れる体験に衝撃を受け、豊かな自然の魅力を肌で感じられたそうだ。また、町の人が誰にでも気軽にあいさつをする光景にも驚いた。壮大な自然と人々の温かさに、「ここに住みたい!」という気持ちが強くなったのだとか。そんな大場さんだが、仕事について悩んでいた。定住財団のサポートでオンラインで話を聞いたりするも自信が持てず、結局は仕事が決まらないまま移住することになった。ところが、思わぬ形で仕事が決まる。島に来てから、食料を確保するために港で釣りをしていた大場さんを偶然見かけた人が「あそこでいつも釣りをしているのは誰?」と興味を持つ。その話が次々と伝わり、最終的には母親へと連絡が入った。その流れで、大場さんに漁協の仕事の話が舞い込む。魚好きだった大場さんは、これをチャンスと捉え、パートタイムで働き始める。その数か月後には正社員に登用され、生活も安定したという。

リアルなしまね暮らし

離島の価格は高コスト、人との関係は高密度
移住して感じた最大のギャップは物価の高さ。離島はさまざまなモノの価格が高い傾向だ。車が必須になりその維持費も掛かるようになった。ガソリンも離島価格のため、負担も大きい。それでも、「できる限り海士で買い物をしたい」と地元の商店を利用。店主との会話を楽しみ、物価以上の価値を見出しているそう。また、狭い島暮らしでは人との距離が近く、話が急速に広まることに驚きつつも、大場さんは性格上あまり気にならないという。自身の明るいキャラクターも相まって、「すぐに顔と名前を覚えてもらい、地域に溶け込むことができたのは、むしろ良かったのかも」と語る。

point 大場さんが利用した支援

オンライン移住個別相談
相談窓口やイベント会場に出向くのが難しい方にオススメなのが、自宅から気軽に相談できるオンライン移住個別相談です。インターネット環境があれば、どこからでも移住相談が可能。平日の昼間だけでなく、定期的に夜間の相談枠も設けているので、ぜひご活用ください。
自ら深める地域との絆。
菱浦青年部に入ってからの変化は特に大きかった。年代が異なる地域の人々と真剣に地域行事に取り組み、ソフトボール大会や綱引き大会に向けた練習に励み、ゲーム大会を楽しむ。イベント後の「直会(なおらい)」での賑やかな交流や地域活動に積極的に参加し、自ら繋がりを深めること。それこそが、海士町で充実した暮らしを手にするための秘訣だと、大場さんは教えてくれた。