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Takiyama Yumi #Iターン #Wワーク

これがわたしの、リアルなしまね暮らし。
from 愛知県 now 浜田市
手放せなかった和紙への想い
島根で叶える、
私らしい生き方
大学で文化財の修復を学んだ瀧山さんは、地元で就職後、約1年半で退職し農業を学ぶため奈良へ。
海外農業研修も考えたが、その前に「日本を知らない」ことに気づき、バイクで日本一周の旅に出発。約3年間住み込みで働きながら各地を転々とし、一歩ずつ成長していった。旅の終盤で本当にやりたいと思えた「農業」「パン作り」「工芸」に絞り込み、それぞれを体験。
岐阜の紙漉きスクールで和紙の魅力に心を奪われ、その後、愛知のパン屋で働きながら漉き手に師事。
文化財修復にも使われる島根の「石州和紙」との縁が繋がり、島根移住を考えるようになった。
移住 before after

移住タイムライン

移住前に平野さんが悩んだこと

瀧山さんは、美濃のスクールや愛知の師匠のもとで教わった紙漉きを通じて、和紙の奥深さに取り憑かれていった。
今後も何らかの形で紙漉きを続けたいという思いはあったが、この技術を仕事としてどう形にしていくか、そして生計を立てていけるのかという不安が頭をよぎる。
そこで、ちょうど紙漉きを学んでいた工房を卒業したタイミングでプログラミングの職業訓練へ。
生活基盤を確保しながらどこでも仕事ができるようにしたうえで、紙漉きに関わる方法を模索することに。これが移住を真剣に考える、大きな動機となった。

移住検討段階でやったこと

移住成功の鍵は「生活の軸」となる仕事の確保
移住を決意した瀧山さんが最も重視したのは、生活の「軸」となる仕事だった。
島根県への移住を検討し始めたとき、実際に島根県へ移住した友人から定住財団を紹介された。
定住財団とのオンライン相談で「ITをメインにしながら、紙漉きに関わりたい」という希望を伝えたところマッチングが成立。浜田市にあるIT企業「浜田コンピュータシステム」への就職が決まり、瀧山さんの島根移住に確かな道筋がついた。生活基盤を確保しながら、休日は紙漉きに時間を費やす。まさに理想の働き方が実現した。
また、西田和紙工房との出会いは、美濃の紙漉きスクールで出会った職人さんからの紹介だった。「石州和紙があなたに合うのでは」と勧められ、現在の工房の存在を知った。最初から「ここで働きたい」というよりも、「紙漉き文化に関われたら嬉しい」という素直な気持ちで、まずは休日に工房を訪れることに。

リアルなしまね暮らし

予想を超えた地域の寛容さ
普段から「なんとかなる・なんとかする」精神の瀧山さんにとって、移住前後のギャップはあまりなく、暮らしの不便さも柔軟な対応力で乗り越えている。
むしろ良い意味でIT企業の寛容さに驚いたと瀧山さんは言う。もともとはフルタイム勤務だったが週1日の勤務にしたいと相談。大抵の会社は拒否感を示しそうだが、そんなこともなく快諾してもらえたという。
また、工房においてもそのオープンな雰囲気や、「思ったことを素直に伝える」石見の人々の気質が、直接的な表現を好む瀧山さんの性格に合っていた。石見弁も、意味が分からなければ素直に尋ねるなど、持ち前のコミュニケーション力を発揮している。

point 平野さんが利用した支援

交通費(半額)助成制度
県外にお住まいの方向け。会社見学や面接などで来県される際に、交通費(半額)の助成を受けることができます。
引越し費用割引サービス
県外からのお引越しの際、その費用の割引サービスを受けられます。
尊重してくれる周りに還元
「島根に来てからは、自分の考えを尊重してもらえている」という瀧山さん。これまでは自分の事でいっぱいだったが、周りの事を考えたいと思うようになったそう。
旅をしていた頃、相手からもらうことが多かった。今は「受けた恩を返す立場。精一杯周りに還元していきたい」という。島根での暮らしを通じて、地域に目を向けるようになったことが、瀧山さんにとって大きな変化となった。