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〝ふるさと〟をくれた島根で
出会いを重ね、成長していきたい

出雲市で育った真殿翔子さん。
神戸からUターンし、ミックで
営業・コンサルティング業務に携わっている。
仕事にも、日々の暮らしの中にもあるのは
「私は島根に育ててもらった」という思い。
ふるさとへの愛を胸に未来を見据えている。

Uターン就職に選んだのは、
地域密着型IT企業

 「いつか子育てをするなら島根がいい」。それが真殿さんのUターン就職の理由だ。生まれは大阪。家族の仕事の関係で3歳で出雲市に移住した。高校卒業後は神戸市の大学へ進学。「大阪や神戸のような都会は学生が遊ぶには楽しい場所だった」と振り返る。にぎやかな街で暮らす中、目につくようになったのが子どもたちの姿。混み合う電車で通学し、駅のホームで下を向いてスマホやゲームの画面を見る姿は、自身が子どもの頃の過ごし方とはかけ離れていた。「そういう育ち方が悪いわけじゃない。時代によって暮らし方や価値観は変わります。ただ、私は子どもを育てるなら、自分と同じように自然が豊かな土地でのびのびと過ごさせてあげたいと思いました」

 島根県の企業に絞って就職活動をする中で出合ったのがミック。複合機やネットワーク機器の販売、オフィスのセキュリティやシステム関係のコンサルティングを行う企業だ。真殿さんはIT関連の分野を学んだことはなかったが、会社見学の際に見た社員同士が和気あいあいと語らう様子が決め手になった。入社後は営業部に配属され、松江市の本社で勤務。先輩社員に専門的な知識や営業ノウハウを学んだ。エンジニアからも機器の扱い方を教わりステップアップ。社内の資格取得のサポート制度を使ってITパスポートも取得した。2021年秋からは県西部の浜田支店に転勤。江津エリアを任されている。
 真殿さんに職場の魅力を尋ねると、「社員全体に会社を盛り上げようとするムードがあるところ」と即答。社員の結束力が高く、チームワークによって業務がスムーズになっているそうだ。「20〜30代の社員が多くて勢いがあるし、ベテランの先輩たちも気さくな人ばかり。トラブルや悩みをすぐに共有できるし、ノウハウを吸収できるので成長できます」。地域密着型のIT企業は、顧客と密な付き合いをしてニーズに答え続ける人間力が必要とされる。その力はチームワークにも反映され、真殿さんのような若手社員の成長やモチベーションアップにつながっているようだ。

温もりのある関係が
働きがいと成長に

 真殿さんの顧客は、地元の中小企業、昔ながらの商店、法律関係の事務所、ガソリンスタンドなど幅広い。その町の生活を支える企業・事業所なども多く、地域・業種ごとに丁寧なケアが必要だ。オフィス業務全体のコンサルティング、小さな事業所が使う複合機の調整やパソコンの納品と、ニーズは顧客の数だけある。「さまざまな業種のお客様を通じて未知の分野に触れられ、私自身の成長にもつながっていると思います。納品した機器について『こんなふうに使って便利になったよ』と教えてくださると手応えを感じます。他県で働いたことがないので比較できませんが、お客さんと距離が近くあったかいつながりが持てるのは、島根ならではの喜びかもしれません」
 最近はリモート会議用システムの納品が増えている。「東京や大阪のような大都市でも、小さな地方都市でも仕事の内容に差がなくなりつつあります。島根はデジタル環境がこれから発展していく段階なので、この仕事で貢献していきたい」。コロナ禍ではネット通販や動画配信、非接触型イベントなどの相談も入るようになった。真殿さんは地元のホームページ制作会社などと連携し、最新機器の導入と合わせたWEBサイトの立ち上げなど、柔軟な提案をしている。顔が見える付き合いから声を拾い、寄り添い、課題解決に向けて共に歩み、自らも成長し続ける。そこには、 IT事業の伸びしろが大きい島根ならではの手応えがあるのだ。

 顧客とのアットホームな関係の中で、新しい体験の機会も得ている。「茶道をされているお客様のお誘いでお茶会を体験したり、木工教室を主催されている方のところに遊びに行ってカトラリーを作ったり、いろんなことに誘っていただいています。仲良くしていただけるのがありがたいし、興味の幅が広がります」。顧客の中には町づくりや教育の活性化を担う団体もあり、真殿さんは多様な働き方や生き方に刺激を受けている。今後は自身も地域おこし系のイベントなどに関わってみたいそうだ。

見つめる未来の形は、
みんなが集まる〝縁側〟

 ミック浜田支店は海辺の街にある。真殿さんは雄大な日本海に心癒やされる瞬間があるそうだ。「うまくいかないとき、海が見える場所で車をとめて、景色を眺めるとリフレッシュできます」。プライベートでも海へ出かけることが多く、友人たちと浜辺で流星群を見たり、マリンスポーツに挑戦したり、自然の中でオフの時間を満喫している。そんな真殿さんだが、子どもの頃は島根で楽しみを見いだすのが難しかったそうだ。「親戚を訪ねて大阪へ行くたびに都会がキラキラして見えて『島根って何もない!』と思っていました」と笑う。そんな幼い真殿さんを、両親はスキーや海水浴などアウトドアレジャーに連れ出した。真殿さんは「おかげで季節ごとに楽しみがあって良かった」と当時を振り返る。出雲市の住まいは緑豊かな野山や海にほど近く、自然に囲まれた大きな公園もあり、毎日の遊び場にも事欠かなかった。のびのび過ごしながら年月を重ねるうち、島根は〝何にもない〟場所からふるさとへと変わっていった。

 島根を真殿さんのふるさとにしたのは自然だけではない。移住した当時は島根に親戚も友人もいなかった真殿さんと家族を、地域の人は温かく迎え入れてくれた。「子ども同士集まって毎日のように遊んでいました。うちの親が仕事で遅くなる日、近くのお家でご飯やお風呂をいただくのはしょっちゅうのこと。母が人付き合いが上手だったのもありますが、外から来た人間を優しく迎え入れる大らかな土地だったのだと思います」。幼馴染みたちやその家族とは今でも付き合いがあり、掛け替えのない存在になっている。
 真殿さんの休日はアクティブだ。カフェ巡り、ドライブ、スノーボード、出雲の実家での家族との時間、最近はサーフィンにも興味を持っている。高校時代の友人たちとバレーボールをして週末を過ごすこともある。近隣地域のアマチュアグループや企業のサークルと練習試合もあり、そこから仲間の輪を広げる楽しみもあるそうだ。「同世代の仲間はUターン者が多いです。いわゆるZ世代なんですが、みんな地元思考が強くなっているのかもしれません」
 「私は島根に育ててもらいました。いつか恩返しがしたい」。ミックで携っている仕事は恩返しの一つの形だ。リモート機器の導入やオフィスのネットワーク構築はビジネスを円滑にし、働き方の選択肢を増やす。UIターンの促進にもつながるだろう。「仕事だけでなく、自分にできることをいろんな形で探したいです。この前友達が子どもを産んだんです。子育てを手伝うのも〝できること〟。身近な人だけでなく、会ったことがない誰かの幸せのためにも動けるようになれたらいいなと思います」

【妹とドライブ】 オフの日は歳の近い妹と車で出かけることも。カフェ巡りやドライブなどをして、リラックスした時間を過ごす。
【馴染みのBAR】 松江本社に勤務していた頃、先輩に教えてもらった「オイスターバー硴室(かきむろ)」。転勤した今も通う馴染みの店で、居場所の一つになっている。

 真殿さんに将来の夢を聞くと、少し考えてから「ずっと先のことでも良いですか?」と少し恥ずかしそうに笑みを浮かべた。「島根で暮らし続けて、おばあちゃんになったら縁側のある家に住みたい。縁側で家族や友達と集まって、お茶を飲んで、誰が来ても一緒ににぎやかに過ごすのが理想です」。仕事もプライベートもまだ序章。社会人として、一人の人間として、伸びしろも可能性も広がっている。これからたくさんの人に出会い、新しい経験をし、豊かな人生を築いていくだろう。ワクワクしながら島根で働き、暮らし、未来を見つめる真殿さん。数十年後、彼女の縁側にはきっとたくさんの人が集まっているはずだ。

真殿 翔子さん
真殿翔子さん
大阪市で生まれ、3歳で出雲市へ。神戸市の大学に進学後、2020年に株式会社ミックにUターン就職。松江市の本社を経て浜田支店に配属。複合機やネットワーク、セキュリティシステムなどの販売・コンサルティングに携わっている。 ※掲載記事は取材時点の情報となります。

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