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故郷の町で巡り合う
知識と経験を生かしながら
自分らしく働けるフィールド

心理学に関心を持ち、
大学と大学院で学びを深めた山本翔さん。
ふるさとでの自分らしい働き方・暮らし方を
探す中で巡り合ったのが、島根電工での仕事。
知識と経験を活かし、採用活動や教育などに
携わりながら、
堅実に、穏やかに、
手応えのある日々を送っている。

ふるさとに帰り、
成長と変化を支える仕事に

 山本さんにとって、Uターンは自然な選択だった。「長男なので、いつかは地元に帰ると決めていました。誰に強制されるでもなく」。出身は松江市で、県外へ出たのは大学進学の時。興味があった心理学を大阪の大学で学び、卒業後は島根大学の大学院へ。就職活動は島根県一択だった。最初に勤務したのは島根県西部の浜田市にある島根あさひ社会復帰促進センター。臨床心理士としてカウンセリングや分析、矯正教育などに携わった。
 30代となり「そろそろ松江の実家の近くへ」と考えていた時に転機がやってきた。父親が勤める島根電工の運動会に家族で参加した時のこと。社長と世間話をする中で「うちで心理学の知識を活かしてみないか」と誘われたのだ。
 島根電工は、電気設備工事を主軸に、給排水衛生・空調設備工事、情報通信設備工事などを手掛け、山陰のインフラと産業を支えている。個人住宅を対象とした生活密着型サービスも展開。事業拡大と共に採用・教育に力を入れている。山本さんは採用活動、社員教育、メンタルサポートに携わることになった。

【社内運動会】 コミュニケーションが活発な明るい職場づくりのために毎年開催され、社員とその家族総勢約千人が集う。山本さんの人生の転機となった。

 山本さんが勤務しているのは松江市の本社。取材で訪問した際、オフィス内は社員が活発に対話し、和やかなムードに満ちていた。社長も頻繁に一般社員のフロアにやってきて「最近調子はどうだ?」「家族は元気?」と気さくに話しかける。山本さんによると「社長は社員の顔だけでなく、性格や働きぶりなども覚えています」。経営者と壁を感じずに語り合え、「自分の考えや目標が理解されている」と実感できる環境はモチベーションの向上に結びつくだろう。
 教育に携わる山本さんも、事務職から現場に出る施工職まで幅広く人柄を把握し、気を配る。取材中、山本さんが若手社員らに笑顔で話しかけ、社員たちも柔和な表情を見せることが何度もあった。一人一人と同じ目線に立ち、信頼関係を築いていることが伺える。「知識と経験を活かせてやりがいがあります。もともと人の成長や変化に関わるのが好きなんですよ。採用した社員が入社後に成長し、イキイキ働いているのを見ると手応えを感じます」
 採用活動のために地域の学校を訪れることもある。「先生方となんでもない話をしながら関係を深めていくのが面白い。距離が近いのは島根ならではかな?」。教師陣から「今年の採用はどう?」「就職したあの子、どうしてる?」と聞かれたり、最近の学生たちの傾向や価値観を教えてもらうことも多い。学生を社会に導く仕事は、ふるさとへの貢献の一つの形だ。山本さんは「地元の役に立てたらいいなという思いは常にあります」と話す。

【ペントハウス】 社屋の上層階にある応接ルーム。来客時だけでなく、研修の後の懇親会などにも使われ、社員の交流の場になっている。
【企業博】 ふるさと島根定住財団主催の「年末しまねジャンボ企業博」。採用活動の一つであり、山本さんは毎年力を入れている。

島根らしい職場で、
島根らしい暮らしがかなう

 近年は教員向けの研修や自社以外の採用試験の面接も依頼されるようになった。会社側は「山本さんの成長になるなら」と後押ししている。「ただの〝山本翔〟ではなく、〝島根で信頼の厚い会社に勤めている山本翔〟だから依頼してもらえることも、会える人もいる。そして会社は挑戦を応援してくれる。できることが広がっていくのが楽しいです」
 多様な業務に携わり日々忙しい山本さん。しかし、プライベートも充実している。島根電工は週3回ノー残業デーがあり定時で退社できる。月末の金曜日・プレミアムフライデーの就業は15時まで。さらに会社から支援金が給付されるという。社員が積極的に地域で飲食や買い物などをすることで、経済活性化に貢献する意図もある取り組み。山本さんは近隣の店でショッピングなどを楽しんでいる。
 プライベートの時間をしっかり作れる企業方針のため、家族と過ごす時間も確保しやすい。「島根電工は社員とその家族を第一にしています。都会は転職しながらのキャリアアップが主流かもしれませんが、僕の周りでは一つの企業で長く働き、土地に根を下ろして幸せを築く人が多いです。仕事と家庭のバランスが取れる環境はとても大切だと感じます」。社員も地域で暮らす家族も〝掛け替えのない財産〟として尊重する方針は、仕事へのやりがいと愛着を育てるだろう。それは島根らしい地域密着型企業のあり方かもしれない。

【スポーツショップ】 サッカーが趣味の山本さん。プレミアムフライデーは会社の近くのスポーツショップで買い物を楽しむこともある。
【夫婦で散歩】 山本さんの住む地域には美しい寺社や水辺がある。夫婦で、親子で、のんびりと歩くだけでも心満たされる。

コンパクトなコミュニティに感じる
〝居場所〟

 山本さんは小学校時代からサッカーを続け、就職後も社会人チームに所属。40代に差し掛かった今はシニアチームでプレーし、ノー残業デーなどに練習している。休日はもっぱら息子たちのサッカーの練習や試合への付き添い。親子でサッカーに夢中で、家でも庭や2階に設けたロフトスペースで子どもたちとボールを蹴り、戦術について語り合っている。「今保育園児の三男も、小学校に上がったらサッカーを始めたいと言っています。成長とともにプレーが本格的になっていくので、息子たち3人のこれからが楽しみ。応援しがいがあります!」
 最近は、出掛けた先で知っている顔を見かけることが増えた。仕事や趣味を通じて人間関係が広がっているからだろう。仕事の関係者が実は山本さんの友人と知り合いだったり、サッカー仲間とつながりがあることも。「人口が多くないコンパクトな島根だから、そういう巡り合わせが多いのかもしれない。人と人が結びつく中に、僕も存在している。僕を知っている人、わかってくれる人がたくさんいる。そう感じる瞬間には、居心地の良さのようなものがあります。僕の居場所はここなんだ、と」

 目標を聞いてみると「仕事では〝人を見る力〟を磨きたい」と答えてくれた。「社員の名前と顔を一番知っている存在になりたい。会社は一人一人の人間力によって構成されるもの。それぞれの適性を見極め、組織の発展に活かしていきたいです。『あの人、どんな人柄?』と聞かれたら答えられるのが理想」。プライベートについては、特別なものはないと答える。「子どものサッカーの応援が楽しみなのと…あとは、コロナ前によくやっていた地元の仲間との飲み会やバーベキューを再開したいです。家族旅行もいいですね。最近はもっぱら近場での車中泊で、長男と二人で過ごしたこともあります。特に会話するでもなく読書したりして、朝になったらコーヒーを淹れる。そんな時間がけっこういいんですよ」。日常の中に希望があり、何気ない時間を深く味わえるのは、満足している証だ。ゆったりと満ちていく島根での日々。山本さんの居場所は、これからも少しずつ豊かさを増していくだろう。

山本 翔さん
山本翔さん
松江市出身。関西の大学で心理学を学び、島根大学の大学院へ。臨床心理士・公認心理師の資格を取得。島根あさひ社会復帰促進センターでの勤務を経て島根電工株式会社に入社。本社の管理本部教育課で採用活動や教育などに携わる。3児の父で、趣味は小学校から続けているサッカー。 ※掲載記事は取材時点の情報となります。

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