地域をおもしろくしている大人たち
故郷はカッコいい!

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母校である県立飯南高等学校で生徒たちの
兄的存在として働く、三島啓太さん、35歳。
生まれ育った飯南町の自然のスゴさに、
Uターン後、改めて驚かされた。
それは子どもの頃、当たり前にあった自然だった。

Uターンして改めて実感、
飯南町の自然てスゴイな!

飯南町は、広島県との県境に位置する人口5000人あまりの小さな町。標高約450mの高原地帯にひらけ、周囲には琴引山や大万木山といった1000m級の山々が迫っている。

「一度離れたことで、なおさら感じるのだと思いますが、飯南町って星空がスゴイな!川にオオサンショウウオがいる!子どもの頃に当たり前だったことが実は特別だったんだ!と、改めて感激しています」と話す三島啓太さん。地元の高校を卒業後、11年間を県外・町外で過ごし、30歳になる年、Uターンした。

「田舎あるあるだと思うんですが、休日がいそがしいんですよ。自治会の集まりがあったり、公民館や消防団の活動があったり。さらに、田植え、稲刈り、草刈り。雪が降れば除雪も必要。とにかく一年中、やることがある。でも、忙しいわりに、なぜか人がせかせかしていなくて、時間がゆっくり流れている感じがする。言葉にするのは難しいけれど、人付き合いの濃さというか。都会では感じられなかった妙に落ち着く空気感なんです」

パプリカジャムは
ロングセラー商品。

大学進学で地元を出るときから、もっといえば、15歳のときから、三島さんは、Uターンすることを決めていた。それは、ふるさと飯南町をカッコよくするためだ。希望だった役場にも入庁。現在は、地域振興課に所属し、母校・飯南高校の「魅力化コーディネーター」を務める。その業務とは、簡単にいういと、学校と地域をはじめとした異分野の人たちをつなぐ仕事だ。

コーディネーター1年目で印象に残っていることは生徒の取り組んだ「小学生の嫌いな食べ物〝ピーマン〟を食べられるようにする」という課題研究の支援だ。「生徒の取材に引率して産直市に行ったら知り合いのパプリカ農家さんがいらして。ちょうど研究が行き詰まっていたときだったので、ピーマンの代わりにパプリカで何かつくろう!と話が進んだんです」。こうして、高校生が考案し、農家さんの協力を得て誕生したのが「パプリカジャム」だった。

「今、大学4年生になっている生徒たちがつくった商品。ありがたいことに、誕生から5年経ったいまでも〝ラムネMILK堂〟で販売されているんですよ」

かっこいいオトナがいる飯南町を
生徒たちに知ってもらうこと。

地元で働いている人たちに、いつも刺激を貰っているという三島さん。とくに、赤名公民館の活動には注目していて「小学生を対象にピザづくりをしたり、親子の防災キャンプを企画したり、楽しんで参加できるイベントをたくさん開催されていて、刺激を貰っています」という。かっこいいオトナがいることを、生徒たちに〝見える化〟する、それも三島さんの大切な仕事なのだ。

2年前には、高校生が神楽愛好会をつくり、第9回「高校生の神楽甲子園」に出場した。演目は「日本武尊 ( やまとたけるのみこと )」。このときは、飯南神楽団のみなさんの協力を得て実現。熱心に指導していただき稽古を重ねた生徒たち。現在も精力的に活動している。

「ボクが高校生の頃より、今の生徒たちには、本気で取り組むオトナの姿がよく目に付くようになっていると思います。そこには、魅力化コーディネーターの仕事も少なからず貢献していると思いたい。ボクがUターンを決めたのは、かっこいいオトナがいないなら、ボクがこの町をかっこよくしたい!と思ったから。でも、今思うと、あの頃はかっこよさが〝見えていなかった〟のかもしれないですね」

飯南町でしか味わえない
至福のときがある。

生徒たちはみんな親しみを込めて「三島さん」と呼んでいた。たまに「啓太くん」って呼ばれることもあるほど、高校に融け込んでいる。三島さんにとって、生徒たちは本当に可愛い存在だ。進路相談はもちろん、サッカーの話に恋愛相談もしてくれる。たよれる兄のような存在なのかもしれない。そして、節目節目で訪れる「就職決まりました!」や「合格しました!」など、生徒たちの成長に立ち会える瞬間や、卒業生が高校や役場まで、わざわざ会いにきてくれることが、とりわけうれしいという。

私生活では、一昨年の7月に結婚。新潟出身の奥さまとは、いわゆる職場結婚で、魅力化コーディネーターを3年間、一緒に務めた同志でもある。夫婦のお気に入りのスポットは、道の駅とんばら内にある「森のカフェ ラムネMILK堂」。大好きな珈琲を飲みながら、読書をしたり、ボーッとしたりして、2時間くらい過ごすこともよくあるという。三島さんが子どものころからお世話になっているオーナーご夫婦のお店「ミセス・ロビンフッド」も、「本当にふたりでよく行くんですよ。飯南町の野菜ってこんなにおいしかったんだ!って思えるから」と絶賛する薬膳レストランだ。

そして昨年、実家の隣には、新居が完成したばかり。窓外に広がる飯南の自然を眺めながら飲む珈琲は格別、至福の味なのだ。

三島啓太さん
三島啓太さん
熊本大学卒業後は国家公務員になり、転勤しながら中国5県で暮らした。30歳になる年にUターン。学生と地域の方々をつなげる魅力化コーディネーターという仕事を通して、かっこいい飯南町づくりを楽しんでいる。 ※掲載記事は取材時点の情報となります。

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